【社会人の英語やり直し】なぜ、私たちは英語が話せないのか? “同時通訳の神様” 國弘正雄が示した答え

COLUMNウィリーズ英語塾コラム

2025.11.20

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【社会人の英語やり直し】なぜ、私たちは英語が話せないのか? “同時通訳の神様” 國弘正雄が示した、たった一つのシンプルな答え

👉 【特典】只管朗読してほしい中学英文法センテンス 音源と一緒に繰り返し音読しよう!

 

「学生時代、あれだけ勉強したのに、簡単な一言さえ出てこない」
「たくさんの教材に手を出したけれど、結局どれも中途半端…」

英語学習を再開した多くの社会人が、一度はこんな壁にぶつかった経験があるのではないでしょうか。忙しい仕事の合間を縫って学習時間を確保しても、なかなか成果が上がらない。その原因は、あなたの努力不足や才能のせいではありません。学習の「やり方」が、根本的に間違っているだけなのかもしれません。

今から40年以上前、日本の英語学習界に衝撃を与えた一冊の本があります。同時通訳者としてアポロ月面着陸の中継を成功させ、「神様」とまで称された國弘正雄氏の『英語の話しかた』です。75万部を超える大ベストセラーとなったこの本が、現代を生きる私たちの悩みに、驚くほど明確な答えを示してくれます。

すべての原点、「只管朗読」との衝撃的な出会い

本書で最も注目を集めたのが、國弘氏の造語「只管朗読(しかんろうどく)」です。これは禅の修行「只管打坐(ただひたすら坐禅する)」にヒントを得た言葉で、文字通り「ただ、ひたすら英語を朗読(音読)する」という意味です。

國弘氏自身、この学習法を中学1年の時の恩師から教わりました。「英語を習う一番良い方法は、中学1年から3年までの教科書を、声に出して繰り返し読むことである」。この教えを「実に愚直なまでに実行した」と氏は語ります。今のように英語教材がない時代、幸い教科書だけはあった。そこで、一つのレッスンを実に500回、多いものでは1000回も読んだといいます。 この超人的な反復練習こそが、後に彼の英語を誰も及ばぬ域にまで高める礎となったのです。

 

なぜあなたは話せない?脳科学が明かす「コペルニクス的転回」

「500回なんて無理だ…」と感じたかもしれません。しかし、重要なのは回数そのものではなく、その本質です。多くの学習者は、英文を読んで意味を理解(和訳)した時点で「勉強が終わった」と勘違いしてしまいます。

國弘氏は、これを学習における「コペルニクス的転回」だと指摘します。 つまり、理解や分析は学習のゴールではなく、音読という本格的なトレーニングへの助走に過ぎないのです。 学習の主役は、インプット(予習)ではなく、身体に英語を刻み込むアウトプット(復習=音読)にあります。

このメカニズムは、脳科学によっても裏付けられています。
私たちの脳には、言語を理解する「ヴェルニッケ中枢」と、言語を能動的に話すことを担当する「ブローカ中枢」があります。

  1. 英文を目で読む(ヴェルニッケ中枢が活動)
  2. その英文を声に出して読む(ブローカ中枢へ情報が伝達)
  3. 自分の声を耳で聞く(再びヴェルニッケ中枢が確認)

音読は、この2つの中枢を連携させ、相互作用を爆発的に活性化させる唯一無二のトレーニングなのです。 このサイクルを繰り返すことで、単なる「知識」が、いつでも引き出せる「使えるスキル」として内在化(internalize)されるのです。

 

「苦行」が「快感」に変わる!音読が深化する”奇跡の10ステップ”

國弘氏は、音読を続けることで学習がどのように深化していくかを、自身の体験をもとに10のステップで示しています。 これは目標ではなく、「愚直に続ければ、誰もが必ずこの景色を見ることができる」という、先人からの温かい道しるべです。

  1. 只管朗読の必要に目覚め、テキストを決める。
    (まずはこの記事を読んでいるあなたが、この段階です!)
  2. CDなどを聞き、テキストの意味を完全に理解する。
  3. 単語レベルの発音をクリアする。
  4. つっかえずにスラスラ読めるようになる。
    (ここが最初の山場。まずはここを目指しましょう)
  5. 次第に構文的な切れ目が自然とわかってくる。
  6. 日本語に訳さず、英語の語順のまま意味が頭から入ってくるようになる。
    (多くの人が憧れる「直読直解」の入り口です!)
  7. 文章のイメージが生き生きと実感できるようになる。
  8. 朗読していて、自然さと楽しさを感じられる。
    (もはや苦行ではなく、心地よいリズムに変わります)
  9. テキストの例文の応用可能性にどんどん気づく。
    (「この表現、あの場面で使えるな」と発想が広がります)
  10. 自分の英語力が確実に広がっていく可能性を実感する。
    (ここまで来れば、英語学習は一生の友となるでしょう)

大切なのは、暗記しようとしないこと。 意味を理解した英文をただひたすら音読する。すると、ある瞬間から受動的な学習が能動的な力へと転化し、応用力が生まれるのです。

カリスマ講師たちも絶賛。今なお生き続ける「音読」の力

この「泥臭い」とも言える学習法は、現代のカリスマ英語講師たちにも脈々と受け継がれています。

「(予備校での)音読・直読という英語学習法との出会いは、それまで訳読中心の学習法しか知らなかった私には、青天の霹靂でした。音読・直読の学習法をスタートしたことで、私自身の英語力に大きな変化がおきました。『リーディング』と『ライティング』の力が飛躍的に伸びたのです」

— 安河内哲也氏

「ふと、あるとき、思いついた。学校の教科書の試験範囲の部分を音読してみることを。(中略)最低100回はやってみた。それ以来、中間・期末試験で95点未満を取った記憶がない。」

— 大島保彦氏

名人の域に達した人々は、例外なくこのような地道な努力をやり通しています。

 

さあ、今日から「本当の英語学習」を始めよう

かつてと違い、今はCDやスマートフォンアプリで、いつでもどこでも正しい発音を確認できます。 誤った発音を強化する心配もなく、一人で、自分のペースで学習を進められる現代は、音読にとって最高の環境です。

英語学習の地図を広げても道に迷っていたあなたへ。必要なのは、新しい教材ではなく、学習への向き合い方を少しだけ変えることです。

まずは、中学の教科書や、あなたが9割以上理解できる簡単なテキストを用意してください。そして、騙されたと思って、一つの文章を30回、声に出して読んでみてください。通勤中の車内でも、少し早起きした朝の5分でも構いません。

遠回りに見えて、これこそが本物の英語力を手に入れるための一番の近道です。多くの先人たちがその効果を保証してくれています。 「理解」というスタートラインから一歩踏み出し、「体に落とし込む」という本質的な学習を、今日から始めてみませんか。