英語を聞き取れるようになりたければ「普通のシャドーイング」はするな!
COLUMNウィリーズ英語塾コラム
2025.07.16
リスニング
テーマ:
英語がスッと聞こえるようになる!プロが教えるシャドーイング3ステップ
今回用いるシャドーイング用音源です
「英語が聞き取れない…」
「毎日シャドーイングしてるのに効果を感じない…」
そんなあなたに、今日はハッキリお伝えします。
“英語が聞き取れない人は「普通のシャドーイング」は今すぐやめてください!”
なぜなら、ほとんどの人がやっている自己流のシャドーイングでは、
リスニング力はなかなか伸びないからです。
多くの人が陥る「目的のないシャドーイング」
シャドーイングに取り組んでいる方で、
– やり方がいまいちわからない
– 続けてるけど成長を感じない
– ただ真似しているだけ…
という方は多いです。そしてその原因はズバリ、
目的意識がないから なんです。
ん?「目的意識?」
音源に続いて発音すればいいんじゃないの?
とにかく繰り返しが重要なんでしょ?
と思われた方。
残念ながらそれじゃだめなんです。
オーストラリアで行われた研究結果では、
目的をもってシャドーイング・音読・リスニングに取り組んだグループは、
そうでないグループと比べて、
2ヶ月で語彙力・リスニング力に平均1.5倍の伸びが見られたことが明らかになっています。
このような例は英語だけじゃく、あらゆる学習、スポーツ、音楽、ビジネス
さまざまな分野で証明されています。
じゃあシャドーイングではどんな目的意識をもって学習すればいいか?
実は効果のある正しいシャドーイングは
3つのステップに分かれていて、それぞれに目的があります。
その目的を意識しながらやらないと何度繰り返しても無駄に終わってしまいます。
成果を出すための正しいシャドーイング【3ステップ】
ここからは、英語コーチとして私が推奨する「効果が出るシャドーイング3ステップ」をご紹介します。
ステップ1:弱点の特定(=分析)
最初のステップは何か?
それは「分析」です。
この最初のステップ「分析」の目的は
「弱点を特定する」ことです。
シャドーイングでここが一番大切で、この分析を飛ばしていきなりシャドーイングやってる方
効果半減どころか、もしかしたら効果なしってこともありえます。
この弱点を特定するというのは、具体的に説明すると
皆さんの頭の中にある英語の発音と実際に聞こえてくる発音を比較することになります。
以前別のコラムでも説明したことがありますが、
ネイティブは書いてある単語をそのまま発音なんてしないんですね。
日本語はモーラタイミングの言語と言われて全ての音節を同じ長さで読みますが、
英語はストレスタイミングの言語で、
強い(つまりアクセント)のある語を中心にリズムを作って、
一定の間隔で発音しようとする特徴があります。
そのため、一定の間隔で発音しないといけないので、
わかりやすい例だと want to を「wanna」のように
短く/リダクションが起きたり、弱い音を曖昧にしたり、リンキングが起きたりします。
なので、頭の中で予想している
英語の発音「I want to = アイウォントゥー」と、
実際の発音「I want to = アイワナ」に差があると
聞いている我々は「アイワナってなんだ???」となって
一気に聞き取れなくなるんです。
ステップ1の具体的 なやり方はこんな感じです。
1)まず音源を再生して「聞く」ことに全集中します。
2)そして自分が聞き取れない箇所を特定します。
① 何を言っているのかわからない箇所があったらノートにカタカナでもいいのでメモします。
(例:アイワナ)
② カタカナも無理という場合はYouTubeや音源の再生時刻をメモっておくと便利です。
3)3回聞いて聞き取れなかったら次のセンテンスに移りましょう。
4)最後に、実際のスクリプトをみながら聞き取れなかった箇所、カタカナで表現した箇所の答えをみます。
つまりここが皆さんの弱点になります。
スクリプトを見ながら、
「なるほど!さっき聞こえた「アイワナ」は
「I want to」のことなんだ。
「I want to」は「アイワナ」と発音されるんだ!
という分析をするんです。
I wannaは分かりやすい例ですが、これはいろんなところででてきます。
例えば
・I’m gonna call her tonight.
今夜、彼女に電話するつもりだよ。
(I am going to call her tonight.)
・Gimme a second.
ちょっと待って。
(Give me a second.)
・Whatcha doing?
何してるの?
(What are you doing?)
ってかんじです。
こうやって、音源を分析して、皆さんが想像していた発音と、
実際の発音との差を一つずつ埋めていく作業が正しいシャドーイング・ステップ1になります。
このステップ1は、
「正しいシャドーイングのための段取り」
といってもいいかもしれませんね。
この段取りがいいかげんだと、良い練習はできません。
仕事も学習もスポーツも音楽も段取りが重要なのは皆さんわかっていただけると思います。
ステップ2:苦手部分の発音自動化
さて、ステップ1の分析で自分の弱点を確認できたら次のステップにすすみます。
ステップ2の目的は「苦手部分の発音自動化」
というものになります。
ステップ1をやってきた皆さんは自分の弱点を理解できている段階です。
これはリスニング力を向上させる上でものすごい進歩なんですが、
理解できていることと、実践の場で使えることとは
大きな違いがあります。
例えていうと楽譜が読めてもモーツァルトを
スラスラ弾けるようになるわけではないですよね?
それと一緒です。
「苦手部分の発音自動化」とは、
ステップ1で特定した自分の弱点を繰り返し発音して、
ネイティブの発音を体に刻み込むステップになります。
多くの方が、全文を満遍なくシャドーイングされていますが、
それはこのステップが済んでからやりましょう。
じゃないと学習効率が悪いんです。
そして自分でもネイティブの発音ができるようになるまでとにかく声にだしましょう。
時間が許せば、スマホの音声入力機能やSiriを立ち上げて発音してみてください。
それらが正しく認識すれば合格です!
ただどうしても認識しないこともありますが、今すぐできなくても全然問題ありません!
1日、1週間 学習したからといって完璧になるわけではありません。
半年後にうまくいけばいいかなくらいの気楽な気分でやりましょう。
ステップ3:英語のビート / リズム感に慣れる
そしていよいよ全体のスクリプトをシャドーイングしていきます。
自分の弱点だけ集中トレーニングすればいいんじゃないの?
と思われる方もいらっしゃると思いますが、
それだけでは「本番で使える力」にはなりきりません。
なぜなら、英語は常に“流れ”の中で使われるからです。
野球でいうと何度も素振りをしてスイングスピードを上げたとしても、
実際にピッチャーが投げるボールでバッティング練習をしないと
タイミングをとって試合で打つことはできませんよね。
シャドーイングも同じで、
- 「弱点の練習 → 正確さの強化」
- 「全体練習 → リズム感・テンポ・呼吸・意味のつながりの習得」
ということになります。
つまりステップ3の目的は「英語のビート / リズム感に慣れる」
ことになります。
このビート、リズム感というのは英語ではとても重要です。
これに慣れることで皆さんのリスニング力は格段にあがっていきます。
一つ一つのフレーズ、単語は聞き取れても、
センテンス、文章になると弾丸のような部分があって
そこが聞き取れなかったりします。
そしてこの弾丸のようになる部分で
リダクションやリンキングが起こることがしばしばあります。
それを感じ取り、自分で発音することが重要なんです。
全体を通してシャドーイングを繰り返すことで、
この英語特有のリズム感、ビートを体に刻み込んでいきましょう。
実践!一緒にシャドーイングトレーニング
ということで、
今皆さんは「シャドーイング」には
3つのステップがあって、
それぞれ目的があるんだということを
理解できたと思います。
ここからは皆さんと一緒にこの3つのステップを
実際にやってみたいと思います!
ステップ1:分析
まずステップ1です。
覚えてますか?ステップ1は分析でしたね。
皆さんの弱点を特定するのが目的でした。
これから短い音声を流すので、
皆さん集中して音源を聞いてみてください。
紙とペンを用意して、聞き取れなかった箇所を特定していきましょう。
それではいきます。
こちらの音声を聞き取ってください!
どうでしょう?
シンプルなセンテンスですが、リンキングも各所に見られるので
難しかった人も多いと思います。
今度はx0.8倍速、遅くして全体を流します。
もう一度集中して、聞き取れない部分をカタカナで良いのでメモしてください!
途中一時停止していただいてもOKです。
いかがでしたでしょうか?
この音源は概要欄から確認できるようにしておきますので、
あとでチェックしてみてください。
ここではたぶんみこの辺が聞き取れなかっただろうなという部分を
3回集中して繰り返し流します。
もう一度、なんて発音されているのか
特定していきましょう。
(3回繰り返してください!)
はい、どうだったでしょうか?
最後スクリプトを表示しながらもう一度全体を流して、解説していきます。
🗣️ I had to pick it up before the store closed, but I called her and she said she’d help him out. I couldn’t go, so I asked her to stop by instead. In the end, I just said thanks and stopped it there.
意味は以下になります。
「お店が閉まる前にそれを取りに行かなきゃいけなかったんだけど、
彼女に電話したら、彼女が彼を手伝ってくれるって言ってくれた。
私は行けなかったから、代わりに立ち寄ってくれるよう頼みました。
結局、立ち寄ってくれてありがとうって言ったんだ。」
内容自体は中学英語レベルですよね。
まず1行目です。聞いてみましょう。
「I had to pick it up before the store closed, 」
ここでは「pick it up」部分でリンキングが起きています。
pick it up → /ˈpɪkɪɾʌp/
「pick」「it」「up」がつながって、まるで「ピキラップ」のように滑らかに発音します。
2行目。ここは繰り返し確認したところですね!
もう一度きいてみましょう。
「but I called her and she said she’d help him out. 」
ここでは「hの脱落」が起きています。
called her → /kɔːldər/
her の h が脱落し、「コールダー」に。
help him → /ˈhɛlpɪm/
help him:him の h が落ちて、「ヘルピム」に聞こえたと思います。
特に「help him」の「him」が多くの人にとって
難しかったと思います。
ステップ2ではここを徹底的に発音練習します!
そして3行目。流します。
「I couldn’t go, so I asked her to stop by instead.」
子音と子音が並ぶので、手前の子音が脱落しています。
couldn’t go → /ˈkʊdn̩ ɡoʊ/
“couldn’t” の “d” が脱落し、t もほとんど聞こえないです。
これがリアルな発音なんです。
最後4行目。聞いてみましょう。
「In the end, I just said thanks and stopped it there.」
語尾の子音が脱落しています。
stopped it → /ˈstɑːpɾɪt/
“stopped” の「p」は軽くなる、あるいはほぼ発音されず、
「ストープィッ」や「スタッピッ」に聞こえますね。
このように、
いきなりシャドーイングするのではなくて、
意味はわかったけど
「ちょっとこの単語、この部分が曖昧に聞こえたな」という
分析をすることがとても大切になります!
今回はちょっと詳しく解説しましたが、
実際は、皆さん カタカナで良いので
自分がなんて聞こえたか認識するだけでOKです。
ステップ2:苦手部分の発音自動化
ステップ2の目的は「苦手部分の発音自動化」でした。
具体的にはステップ1で特定した弱点部分の音声を聞きながら
集中的に音読、シャドーイングすることです。
先ほどの2行目
「but I called her and she said she’d help him out. 」
を使ってトレーニングしていきたいと思います。
今みたいにスピードを落として文章をみながらまずは音読しましょう。
これをオーバーラッピングと言ったりします。
それでは 0.7倍速で音源を流すので、文章をみながら
音と文字を一致させてください。
もし自分の声がじゃまになるようでしたらイヤホンつけて練習しましょう。
いきますよ。
(2回流してください!)
次は音源なしで、
スクリプトをみながら先ほどの音源の発音を真似て3回音読してみましょう。
1回目どうぞ!
but I called her and she said she’d help him out.
2回目音読しましょう!
but I called her and she said she’d help him out.
3回目の音読になります!
but I called her and she said she’d help him out.
すばらしくよくなってきました!
それでは 0.8倍速で部分シャドーイングしてみましょう!
音源に1秒遅れて聞こえたままを発音してください。
こちらもイヤホンしたほうがやりやすいと思います。
じゃあ流します。
はいお疲れ様でした!
うまくいかない場合はスクリプトをみながら音読を繰り返しやってから
再度チャレンジしてみてください。
結果としてセンテンスを暗記しちゃってもOKです。
そのくらい練習しているということなのでまったく問題ありません。
これでステップ2終わりです。
ステップ3:英語のビートに慣れる
それでは最後ステップ3やってみましょう。
ステップ3の目的は「英語のビートに慣れる」でしたよね。
スピードを0.7にして全体を流すので、スクリプトをみながら
まずはついてきてください。
しっかり声を出して感情を込めてやりましょう。
はい、流します。
I had to pick it up before the store closed,
but I called her and she said she’d help him out.
I couldn’t go, so I asked her to stop by instead.
In the end, I just said thanks and stopped it there.
この部分、リンキングやリダクションがあって
テンポ早くなりますよね。
こちらを何度か音読したら、
さぁ仕上げのシャドーイングをしましょう!
2回がんばってみましょうか。
はい本当にお疲れ様でした。
まだまだうまく音源についていけないという方たくさんいると思いますが、
それが普通なので、まったく問題ありません。
スピードを0.8とか0.7に落として3日間連続、1週間連続でやってみてください。
そうすれば皆さんのリスニング、レベルアップしてること必ず実感できます!
まとめ:シャドーイングはやり方次第でリスニング力が爆伸び!
自己流で効果が出なかった方も、この「分析 → 自動化 → ビート慣れ」の
3ステップをしっかり踏めば、確実にリスニング力は上がります。
実際に私の英会話スクールでは、このメソッドを導入しており、
「ネイティブの英語が聞き取れるようになった!」
という声をたくさんいただいています。
WiLLies Englishのコーチングプログラムでは
こういったリスニングトレーニングを生徒の皆さんのレベルに合わせた教材で徹底しています!
私(WiLLies Englishの代表 田中)がマンツーマンで学習計画策定から伴走までしているので、
気になる方はぜひこちらもご確認ください!
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